きゃべログ

CCBTにて「生成AIと一緒にアニメーションをつくろう!」ワークショップを実施しました

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ワークショップに参加する親子のようす ※ 本記事に掲載している写真は広報での使用許可を得て撮影しております。

2024年3月16,17,23,24の4日間、シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)にてプログラミング入門「生成AIと一緒にアニメーションをつくろう!」というワークショップの講師をさせていただきました。2023年7月に渋谷ヒカリエで展示した「p5.CodingWithAI」を活用してAIと一緒にプログラミングを書いてアニメーションを作ろう、という2時間のワークショップです。

最初に、簡単なプログラミングに自力でチャレンジした後、生成AIの力を借りながら作品をつくりあげ、最後は自分の作品を発表するという流れで進行しました。

イベントの公式ページ:
ひらめく☆道場 プログラミング入門 - シビック・クリエイティブ・ベース東京 [CCBT]

イベントで使用した「p5.CodingWithAI」は以下からお試しいただけます。
URL: https://app.kyabe.net/p5-coding-with-ai/
※ 予告なく提供を終了する可能性があります。ご了承ください。

まずは自分でアニメーションプログラミングにチャレンジ

目指したもの

今回は「生成AI」「プログラミング」「アニメーション制作」の3つの要素を実際に体験していただき、帰ってからもっと調べてみたい、取り組んでみたいと興味を深掘りしてもらえるようなワークショップを目指して企画しました。それぞれの要素について知識がなくても、その日のうちに実際に触って、どんなものかをなんとなく知ることができる機会を提供することを意識しました。2時間という限られた時間で実施する都合上、生成AI・プログラミング・アニメーションについて細部まで理解することは目指さず、とにかく興味を持ってもらうことがキーコンセプトでした。

上記のように、参加者の方へより価値のある体験を届けることを第一に設計していますが、私にとってはもう一つの側面として「p5.CodingWithAI」という作品の中で投げかけている問い「人間とAIの共創の実現性」の答えを探求する場でもありました。

作品づくりを楽しむようす

4日間を終えて

参加者の属性はは実に様々でした。年齢は9歳から60代まで、前提知識はゼロの方から普段から触れたことがある方まで。どの方も最終的に作品をつくりあげ、自分自身の言葉で作品について発表いただけました。

テーマは「アニメーションを作ろう」と広かったため、作品のテイストも、内容も様々でした。生き物や植物、景色、幾何学模様、人気ゲームを模したもの。p5.jsというものを知ってまだ1時間くらいで、マイク入力やマウス入力を使い自分の作品を作り上げて、インタラクティブなアニメーション作品を作り上げた方もいらっしゃいました。みなさんの作品をまとめた動画を本記事の末尾にまとめて掲載していますので、ぜひご覧ください。

雷を表現した作品

特に素晴らしかったのが、参加者の方が作品を作り上げていくプロセスです。生成AI・プログラミング・p5.jsなどのツールに初めて触れる方がほとんどだったにも関わらず、どの参加者の方も止まることなく試行錯誤を続けていました。実現したい表現を目指してプロンプトを入力するも、なかなか思った通りの出力が得られないこともしばしば。都度、言葉選びや内容を練り直して再度AIに対してリクエストしていきます。時には意図していなかった出力を受け入れて新しい方向性に向かう柔軟性もみられました。大枠はAIに草案をつくらせ、詳細は参加者自身がコードやパラメータを直接調整するようなアプローチも見られました。

答えのない取り組みに自分なりのやり方を模索しながら、作品を形作っていく。VUCA時代を象徴する体験で、価値のある時間だったのではと思います。三者三様で1人として同じ道を通らないことがとても興味深かったです。

集中して作品づくりに取り組む1

AIと人間の共創について

「AIと人間の共創」というとスコープが広すぎるので、「プログラムを介した表現活動におけるAIとの共創」について感じたことや考えをまとめてみます。

1つ目は未経験者や初心者が表現活動に参加する間口を広げる働きについてです。人が自力でプログラミングを活用して表現するためには、前提としてプログラミング言語の理解に加えて、利用するライブラリなどのAPIについての知識が欠かせません。プログラミング言語では書き方のお作法を知り、ライブラリのAPIを知ることは使える色やペンの種類にはどんなものがあるのか、またそれらの使い方を知るようなイメージです。完璧に理解しようとすると膨大な時間がかかります。 AIを活用することで、こうしたハードスキル的な障壁を取りのぞき、どんなことができるのかをまず体験してみることができます。やりたいことをプロンプトとして入力することで、知識やスキルはAIに肩代わりしてもらい、表現に集中することから始めることができます。AIが超高機能な逆引き辞典のような働きをしてくれるため、APIなどの学習過程でも有用です。詳細に表現をチューニングしていくには自力でプログラムを修正する必要が出てきますが、それを目指して学習するのはまず数時間試して興味を持ってからでも遅くありません。AIと一緒につくることは「何か難しそうなもの」から「何か面白そうなもの」に進むための有用なステップになり得ると考えています。

集中して作品づくりに取り組む2

2つ目は創作性の有無についてです。プログラムはAIにより提案されるため、プログラムから生成されるアウトプットはAIにより作成されたものと言えます。ところがプロセスに着目すると見え方が変わります。プロンプトを入力する過程で自らの表現意図を言語化し、AIから出力される結果を受け入れるかどうかを選択します。この活動を繰り返すことで自らが納得できる表現を目指していきます。彫刻の原形を少しずつ削って思った形に近づけていくイメージです。これは感性と価値観を反映させていくというプロセスと考えられます。どのようなAIをどのように活用するかにもよりますが、AIを活用することで創作性が損なわれるとは限らないというのが現在の考えです。

AIから提案されたコードを吟味する

予告: CCBT COMPASS 2024にて追加開催

2024年5月3日〜19日に開催される「CCBT COMPASS 2024」という15日間のプログラムの中で、こちらのワークショップを再度実施させていただくことになりました。有楽町の「SusHi Tech Square」という会場で開催予定です。前回よりも定員を増やして実施するので、前回とどんなふうに雰囲気が変わるのかドキドキ。

  • 日程
    • 2024年5月5日(日・祝)10:30–12:30
    • 2024年5月6日(月・休)10:30–12:30
  • 会場
    • SusHi Tech Square 1 階

事前申し込み制、先着順です。お申し込みはこちらからどうぞ。
ひらめく☆道場 プログラミング入門:生成AIと一緒にアニメーションをつくろう! - CCBT COMPASS 2024

参加者のみなさんの作品


きゃべ / Masaya Kurahashi
きゃべ / Masaya Kurahashi
Software Engineer, Product Manager